Azel's Note

ある高校生の数学ノート。

ラマヌジャン・ナーゲルの定理を背景に持つ入試問題を見つけた話

今回の記事は中身がありません笑。ある面白い定理を背景にしたと思われる入試問題を見つけたというだけの記事です。

最近、Ramanujan-Nagell's theoremなる定理を知りました。

『方程式2^{n}-7=x^{2}自然数(n,x)(3,1),(4,3),(5,5),(7,11),(15,181)のみである。』

という定理です。えらく具体的な定理だなあ。定理って言うと大抵、「a^{n}+b=x^{a}自然数解の個数は(何らかの関数)個である」ってくらい抽象的なモノだと思うんですけど。

名前から分かるように、かの奇才ラマヌジャンの星の数より多い業績の一つらしい。ナーゲルは三角形のナーゲル点のナーゲルと同じ人かな?

ラマヌジャンと言えば、証明もなしに定理を生み出す暴れ馬のような数学者です。

どこかでこの不定方程式を見たことがある気がしたので、心当たりを調べたところ

(1) 6以上の整数nに対して2^{n}-7 > n^{2}が成り立つことを示せ。
(2) p^{q}=q^{p}+7を満たす素数p,qの組(p,q)を全て求めよ。

去年の東北大の入試でした、以上。これ以上書くことがない笑。

ここで終わるのも出オチが過ぎるので一応解いておくことにします。

(1)は最も愚直な解法を選ぶなら、f(x)=2^{x}-x^{2}-7とおいて、

 f'(x) = \log_e 2 \cdot 2 ^{x} -2x , f''(x) = (\log_e 2)^{2} \cdot 2^{x} -2だから、

 f'(x)x \geq 6で単調増加であり、f'(6)>0よりf(x)x \geq 6で単調増加。

 f(6)>0より、x \geq 6f(x)>0 よって題意が示された...とすればよいはずです。

nを離散量として考えてよいにもかかわらず、わざわざ連続量のxをおいて微分するのは流石にオーバーキルなので、模範解答的には数学的帰納法を用いるのが正解なのかもしれません。連続量における微分は、離散量では、比をとって1と比較したり、階差をとって0と比較することに相当するので、そちらを採るのもありでしょう。

(2)は少し形が崩れているものの、まあ恐らくはラマヌジャン・ナーゲルの定理を背景に問題を作ったのでしょう。

もし入試数学がルールなしの殴り合いだったら、「ラマヌジャン・ナーゲルの定理より(p,q)=(2,5)である」って言えば済みますが、これだとちょっと身も蓋もないのでちゃんと解きます笑。

p,qの偶奇が一致する場合、両辺の偶奇が一致しないので、p,qの一方は2です。

(1)の結果を利用するためにp=2を示したいと思うのが自然で、これはq \neq 2を示すことに同等です。

q=2とするとp^{2}=2^{p}+7となるのですが、結局これを示すのにも(1)が使えます。

(1)より、p \leq 5なのでp=2,3,5を試せばよく、実際全て不適です。

したがってp=2とでき、2^{q}=q^{2}+7となる素数qを探せばよく、

(1)より、q \leq 5なのでq=2,3,5を試せばよく、適当なものはq=5のみ。

故に答えは(p,q)=(2,5)です。当然これはラマヌジャン・ナーゲルの定理に合致します。

京大の整数問題を因数分解だけで解く試み

驚異の本日3投稿目。

夏の間体調を壊し、8月の後半は完全に寝込んでいたので数学から遠ざかってしまっていました。

また体調を崩さないうちに一気に記事を書いています笑。

最近出会ったこんな問題があります。

任意の整数nに対し、n^{9}-n^{3}9で割り切れることを示せ。 (2001年 京都大学)

まあ普通、9を法とした剰余が0になることを言うのでしょう。簡単な問題です。


剰余類を用いた普通の解法

あらゆる整数nは、適当な整数m,k(=-1,0,1)を用いてn=3m+kと表せ、その平方はn^{2}=9m^{2}+6km+k^{2}と表せる。

n^{9}-n^{3}=n^{2}(n-1)n(n+1)(n^{2}+n+1)(n^{2}-n+1)であり、k=0すなわちn=3mのとき、これは9の倍数となる。

n-1,n,n+1のいずれかは3の倍数であるから、k=\pm 1のとき、

(n^{2}+n+1)(n^{2}-n+1)が3の倍数であることが言えればよい。

(n^{2}+n+1)(n^{2}-n+1) \equiv (k^{2}+k+1)(k^{2}-k+1)  \mod 3

k=-1,1のいずれの場合も、これは3の倍数となる。\therefore 題意は示された。


多くの人がこう解くでしょう。

しかし、剰余類を用いてはならないなんてことになったらどうでしょうか。そんなシチュエーションが発生するのかはさておき笑。

一気に難しくなりますが、取りつく島もないわけではありません。

というのも、『連続したm個の整数の積はm!の倍数である』という有明(そして自明)な事実があるからです。

上の解答でもこの事実を用いました。

この事実は、連続したm個の整数のいずれかはmの倍数であり、いずれかはm-1の倍数であり、いずれかはm-2の倍数であり……という考えからわかりますね。

ある数が9で割り切れることを示すには、6!で割り切れることを示せば十分です。6!は9の倍数ですからね。

したがって、ある数を連続した6個の整数の積として表現できれば、その数が9で割り切れることが言えます。

これを利用すれば、実質因数分解のみで解決することも可能かもしれないと思ったので、実際にやってみました。


因数分解による解法

以下では、合同式の法を9とする。

また、連続したm個の整数の積がm!の倍数になる事実を断りなく用いることがある。

n^{9}-n^{3}

=n^{2}(n-1)n(n+1)(n^{2}+n+1)(n^{2}-n+1)

=(n^{2}(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)+n^{2}(n-1)n(n+1)(n+5) )(n^{2}-n+1)

=n^{2}(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)(n^{2}-9-n+10)+n^{2}(n-1)n(n+1)(n+5)(n^{2}-4-n+5)

=n^{2}(n-3)(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)(n+3)-n^{2}(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)(n-10)

+n^{2}(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)(n+5)-n^{2}(n-1)n(n+1)(n+5)(n-5)

\equiv -n^{2}(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)(n-10)+n^{2}(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)(n+5)

-n^{2}(n-1)n(n+1)(n+5)(n-5)

=15n^{2}(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)-n^{2}(n-1)n(n+1)(n^{2}-25)

\equiv -n^{2}(n-1)n(n+1)(n^{2}-4-21)

=-n^{2}(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)+21n^{2}(n-1)n(n+1)

\equiv -n^{2}(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)

=-(n^{2}-9+9)(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)

=-(n-3)(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)(n+3)-9(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)

\equiv 0

よって題意は示された。


一応解決はしましたね笑。整数の連続積を表す記号を考えて導入すれば見かけ上はもうちょっとマシな解答が出来ると思います。

=n^{2}(n-3)(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)(n+3)-n^{2}(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)(n-10)

+n^{2}(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)(n+5)-n^{2}(n-1)n(n+1)(n+5)(n-5)

の次の変形を

\equiv -n^{2}(n-1)n(n+1)(n+5)(n-5)

に留めておいて、n-1 \equiv n+5 \mod 3,n+1 \equiv n-5 \mod 3を用いて(n-1)n(n+1)(n+5)(n-5)が9の倍数であることを示せばここで解答を終えられるのですが、結局気合で計算しきる道を選びました。

まあ、ネタですからね、こんなものは。実用性を求めてはいけない。実際の入試でこういう解き方をした猛者は居るのだろうか。

絶対に二度とやりたくないです。剰余類の有難みが分かりました。

積分で活躍する、整式の瞬間部分分数分解法(Heaviside cover-up method)

積分ってしんどいですよね。何がって計算が。

中堅以上の大学の入試問題だと、部分分数分解して積分しなければならない場面が割と多いです。

この部分分数分解が曲者で、それなりに面倒。

この記事では、数値代入法を用いて瞬間的に部分分数分解するテクニックを紹介します。

(詳しい話はこの記事の最後に書きますが、どうやらこの方法は「Heaviside cover-up method」と呼ばれるものらしいです。)


・分母が重根を持たない場合(普通の部分分数分解)

具体的な例

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何故この方法で部分分数分解できるのか

最初に述べたように、部分分数分解は扱いやすい恒等式を作る作業です。したがって、各項の分子を求める作業は、恒等式の係数決定と同様の方法を応用できるわけです。

一般的な方法では、\dfrac{2}{x(x+1)(x+2)}=\dfrac{a}{x}+\dfrac{b}{x+1}+\dfrac{c}{x+2}などとおいた上で整理し、

2=a(x+1)(x+2)+bx(x+2)+cx(x+1) \Leftrightarrow (a+b+c)x^{2}+(3a+2b+c)x+2a-2=0

xについて恒等的に成立するための必要十分条件である

(a+b+c)=0,(3a+2b+c)=0,2a-2=0」を連立方程式として解いています。

しかし、降べきの順に整理する前の式である2=a(x+1)(x+2)+bx(x+2)+cx(x+1)に注目してx=0,-1,-2を代入すれば、必要条件2=2a,2=-b,2=2cを求められます。

これを利用したのが上の方法です。

もちろん、厳密には十分性の確認が必要ではありますが、省略しても実使用上に問題はないでしょう。

実際、有理関数の部分分数分解の可能性と一意性は(教科書に記載はないが)広く知られた事実です。素因数分解の一意性もそう。

もしそれを示さなければならないなら話は別ですが、実際に部分分数分解が必要な場面は大抵計算過程ですから、見据える問題の本質がその計算過程に宿るのでない限りは、プラグマティックに考えることも重要だと僕は思います。

少なくとも、素因数分解の一意性が教科書に記載されていないからと言って、解答でいちいち証明する人は多くないでしょう。実際この証明はけっこう難しいです。

(この方法を用いたとされるヘヴィサイドも、

「Why should I refuse a good dinner simply because I don't understand the digestive processes involved?」

という言葉を遺しています。和訳するなら、「消化のプロセスを知らないなら、食事の誘いを断れとでも?」というニュアンスになるのかな。

演算子法の理論が数学的厳密性を欠くことについて指摘されたときにこう反論したそうです。)


・分母が重根を持つ場合

工事中。


・余談

この方法ってあまり見ない(問題集の解答では大抵係数比較している)けれど、実は一般的なものなんだろうか、それとも塾や予備校では何か別のテクニックを教えているのか?なんて思ったのでちょっと調べてみたんですが、

d.hatena.ne.jp

なんかこれ、演算子法とか同軸ケーブルの発明で有名なヘヴィサイドが用いていた方法と同じみたいですね......

恒等式の係数決定なんだから数値代入法でいいじゃん」程度の軽い思い付きから生まれた方法が、ちゃんと名前のある計算技術だったことにはちょっと感動しました。

複素数平面の図形問題を初等幾何で解決する小ネタ

複素数平面は幾何問題の処理において問答無用の強さを発揮します。

最大最小問題なら、極形式を用いて強引に三角関数の最大最小問題に帰着させることが出来るし、証明問題(特に直交関係の証明)は、各点を複素平面上の位置ベクトルとして扱うことでただの計算問題へ帰着させることのできる恐ろしい武器です。

問題文の設定に一切複素数が絡まなくても、「確実に」解けることが解法選択の絶対条件とされる大学入試では、三角比や初等幾何では手を出しづらい場合は複素平面を用いて解決するのが定石となっているようです。

実際、いざ自分が受験生となった今では、こういう計算力だけでなんとかなる解法の安定感は何にも代えがたい笑。

しかし、中学校で習うような素朴な方法もまた面白いと思うのです。

今日扱うのは、複素平面を用いて解くことが推奨されるような、大学入試の図形問題を初等幾何で解決してみるという小ネタです。

任意の四角形ABCDに対し、その各辺を斜辺とする直角二等辺三角形\triangle PAB ,\triangle QBC, \triangle RCD, \triangle SDAの頂点P,Q,R,Sを四角形ABCDの外部にとる。
PR = SQ,PR \perp SQを示せ。

これは随分前に高校の補講で扱った問題。出典は旭川医科大学だったような気がします。

数IIIの補講だから、当然先生は複素平面を活用して色々問題を解くわけですが、僕は暇を持て余して片っ端から初等幾何的に解いた。その結果が以下の解法。


・初等幾何による解法

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一方の対角線の中点と各辺の中点を考えたとき、中点連結定理と直角二等辺三角形の性質から、図の黄緑色の三角形は互いに合同であり、対応する辺のなす角は直角である。

故に、PR=QS,PR \perp QSが示された。


なかなか簡潔でしょう。これが初等幾何の醍醐味です。

物好きな人が居たら、同様の手法が他の問題にも通用するか試してみてください。

数学甲子園2017予選通過 & 2015年本選問題を試し解き。

・まさかの予選通過

タイトルの通り、数学甲子園2017予選通過しました。

僕のチームは本選出場チームの中で最も名前が長いチームです。本選に出場できるのならもっとマシな名前にするべきでした。(発案は僕じゃないです。)

予選があったのは今月初頭のこと、適当に数学の得意な奴が3人集まり、記念受験のつもりで参加。

予選はチームメンバー全員の得点の平均がチームの得点になるため、下手に5人を集めるよりも精鋭3人を集めた方が予選突破のチャンスはあると踏んでのこの選択だったけれど、本当に予選を通過するならハナから5人チームにしておけばよかったと今更後悔しています。

予選終了後、比を逆にしたり放物線の凸方向を間違えたりという酷いミスを連発し、17点あるかないかという大敗を喫した僕は、他のメンバーが「でも18は堅いな!」とか言っている傍ですまし顔をしつつ、足を引っ張った情けなさで内心泣き出したいくらいの気持ちで家路に就きました。

自己防衛なのか単なる忘れっぽさなのか、そんなことがあったことはすっかり忘れて夏休みを謳歌していたところにチームメンバーからの突然の予選通過の連絡。一同仰天。

僕のこの体たらくで予選通過できたのは、僕以外の2人が優秀だったのと、問題が難化してボーダーが下がったおかげ。チームメイトの皆に感謝。


・本選について

本選出場チームの高校を見て、偏差値の高さにビビりました。偏差値70台後半の高校がちらほらある。多分僕らの高校は下から数えて3番以内でしょう。

チーム名が面白いです。「蒸気は英語でス」チームと「漸漸漸化式」チームが一番うまい名前だと思う。僕らは完全に滑っててつらいので敢えてここで書くことはしません。

さて、今年は過去最多の567チームの参加があり、本選参加者の4分の1は女性らしいです。

偏見かも知れませんが、数学オリンピックのようなアカデミックな催しは、どうしても閉鎖的になりがちです。参加人数が少ないというつもりはありませんが、どうしても僕のような「数学が青春」みたいな奴のイベントになりがちです。平たく言えばナードのイベント。

当然、"数学は嫌いじゃないけどさほど強い興味があるわけではない"くらいの層は参加しづらいでしょう。

それに比して、例えば高校生クイズはもっと参加の心理的ハードルが低いものです。特にクイズに強い興味や思い入れがある者ばかり参加するわけではなく、会場にくる芸能人に会いたいから、程度の理由で参加する人も多く、参加人数が膨大です。それ故に、当然盛り上がりとしては高校生クイズが段違いです。

数学オリンピックのように、既に一定以上の実力がある人間の中で競うのももちろん面白いですが、高校生クイズのように、初心者も歓迎!というイベントもまた面白いです。

数学甲子園の参加者が増え続けているのも、女性参加が増えているのも、このイベントが開かれたもので、排他的なものでないことの一つの裏付けでしょう。

言いたいことがまとまりませんが、"軽い気持ちで"参加できるイベントって、素晴らしいと思います。


・2015年の本選問題を解いてみる

毎度恒例の長い余談は終わりにして、今日の本題。

肩慣らしに、公式HPで公開されている問題を試しに解いてみました。


第1問

僕は大抵「とりあえず解ける」ような解き方を探すので、この問題を見たときも、方冪の定理と余弦定理と相似から\triangle CBTの各辺の長さを調べ\triangle CBTの適当な内角の正弦を計算して正弦定理から半径を求める…みたいな解き方が浮かびました。

でも、問題を多く解くことを求められる試験では、そういう解法が模範解答として設定されていることは恐らく少ないでしょう。

他にマシな解き方がないか、少し立ち止まって考えてみるべきでしょう。

僕は勘が優れているわけではないので、もし今年の本選でこの問題が出ていたら、簡単に解く方法を思いつけずに最初に言った解法で解いたかもしれません。

でもできることなら、下に示すような解法を取りたいですね。


解答

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直線OTと円Oとの交点をD、直線ACとの交点をEとする。OT \perp ATであり、

方冪の定理よりAT=6がわかるから、\angle EAT=\dfrac{\pi}{3}だから、AE=12,ET=6\sqrt{3}

方冪の定理より3\cdot 8=ED \cdot 6\sqrt{3}だから、ED=\dfrac{4\sqrt{3}}{3}\therefore 求める半径は\dfrac{1}{2}(6\sqrt{3}-\dfrac{4\sqrt{3}}{3})=\dfrac{7\sqrt{3}}{3}


第2問

僕は確率とか組合せの問題が本当に嫌いなので、こういう問題は見るだけでちょっとオエッっとなるんですが、これは特に嫌い。面白さがわからないので。多分この問題が一番不正解者多いんじゃないかな。必要最低限の範疇にある計算の量が最も膨大なので。

Cを用いた数え上げでは根元事象がそれぞれ同様に確からしく起こるようにする必要があり、例外的な部分は面倒くさがらずに場合分けするしかありません。場合分けの基準は好みがあると思いますが、僕は最後の一手で場合分けする派。

ただちょっと僕のやり方はごり押しが過ぎる気もする。より簡単な解き方を思いついた人が居たらコメント欄にでも書き込んでくださると勉強になります。


解答

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速さの比は、7:5なので、最短距離を進んだ時に二人が出会う点として有り得るのは、図の6地点のみである。

また、以下では矢印は進行方向を表すものとする。

てつやがP_1まで最短経路で到達するとき、

下方向から到達する確率は、6C2 \cdot (\dfrac{1}{2})^{7}

左方向から到達する確率は、

↑↑↑↑↑→→の順で進んでくる確率が(\dfrac{1}{2})^{5} \cdot 1 \cdot 1、○○○○○↑→の順で進んでくる確率が5C1 (\dfrac{1}{2})^{6} \cdot 1

\thereforeてつやがP_1を通る確率は、(6C2 + 4 + 5C1 \cdot 2)\cdot (\dfrac{1}{2})^{7}=29 \cdot (\dfrac{1}{2})^{7}

みちこがP_1を通る確率は\dfrac{1}{2^{5}}だから、P_1で出会う確率は、\dfrac{29}{2^{12}}

てつやがP_2を通る確率は7C3 \cdot (\dfrac{1}{2})^{7}、みちこがP_2を通る確率は5C1 \cdot (\dfrac{1}{2})^{5}

\therefore 二人がP_2で出会う確率は7C3 \cdot (\dfrac{1}{2})^{7} \cdot 5C1 \cdot (\dfrac{1}{2})^{5}

以下同様にして、

P_3で出会う確率は、7C3 \cdot (\dfrac{1}{2})^{7} \cdot 5C2 \cdot (\dfrac{1}{2})^{5}P_4で出会う確率は、7C2 \cdot (\dfrac{1}{2})^{7} \cdot 5C2 \cdot (\dfrac{1}{2})^{5}

P_5で出会う確率は、7C1 \cdot (\dfrac{1}{2})^{7} \cdot 5C1 \cdot (\dfrac{1}{2})^{5}P_6で出会う確率は、(\dfrac{1}{2})^{7} \cdot (\dfrac{1}{2})^{5}

\therefore求める確率は(29 + 7C3 + 5C1 + 7C3 \cdot 5C2 + 7C2 \cdot 5C2 + 7C1 \cdot 5C1 +1)\cdot (\dfrac{1}{2})^{12}=\dfrac{25}{128}


第3問

流石にこれはサービスと言う他ない。予選通過する実力があれば確実に解けるはずの1問。

というか、漸化式解くだけの問題って、例年予選で出てるような気がするぞ…


解答

b_n=\dfrac{1}{a_n}とおくと、b_1=1,b_{n+1}=2b_n+3

b_{n+1}+3=2(b_n+3)と変形できるから、n \geq 2において、b_n=2^{n-1}(b_1+3)-3=2^{n+1}-3

b_1=1だから、n=1のときもこの式は成立する。

b_n=\dfrac{1}{a_n}であるから、a_n=\dfrac{1}{2^{n+1}-3}


第4問

これもサービス。なんかこういう問題を解くと本選が凄く簡単なもののように思えてくるなあ。この前まで予選突破さえできないと思ってたのに、自分の単純な性格には呆れる笑。


解答

\log_2 x=tとおくと、1 \leq x \leq 8より、0 \leq t \leq 3

与式はt^{3}-3t^{2}+1とでき、これをf(t)とおくと、f'(t)=3t(t-2)

\therefore 0 \leq t \leq 3において、f(t)は最小値f(2)=-3をとり、最大値f(0)=f(3)=1をとる。

t=0,t=2,t=3のとき、それぞれx=1,x=4,x=8であるから、

yx=1,8で最大値1x=4で最小値-3をとる。


第5問

こういう最短経路長を求める問題ってよく見ますが、大概「糸は各面ではたるんでいないものとする」みたいなむず痒い文言があります。

でもこの問題は糸じゃなくて輪ゴムにすることで、その断り書きの必要性を回避していますね。賢いな笑。

当然この問題も展開して考えるわけですが、どこでも良いわけではありません。まあ解けるのは解けるんですけど、Pを含む辺が端になるように切り開くべきでしょう。


解答

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展開して、Pを通過するような最短経路長を求めると、2\sqrt{(a+c)^{2}+(b+c)^{2}}


第6問

普通の極限。極限の問題で\sin x,\cos xが絡んだらやることは\dfrac{\sin x}{x}を作り出すほかにありません。


解答

\cos(\dfrac{\pi}{2}-\dfrac{x}{2})=\sin \dfrac{x}{2}であり、

x=-0近傍では|\sin \dfrac{x}{2}|=- \sin \dfrac{x}{2}だから、与式は\lim_{x \to - 0}=-\dfrac{1}{2}\cdot \dfrac{\sin \dfrac{x}{2}}{\dfrac{x}{2}}とできる。

\therefore 求める極限値- \dfrac{1}{2}


第7問

見かけ上3変数の関数の最大最小を求めるときには、この問題のようなベクトルを定めて考えることがあります。

その計算過程だけを抽出したような問です。消せるだけ変数を消して平方完成します。


解答

a^{2}=(1+b-2c)^{2}だから、a^{2} + b^{2} + c^{2}=2b^{2}+5c^{2}-4bc+2b-4c+1

整理して、a^{2} +b^{2} +c^{2} = 2(b-\dfrac{2c-1}{2})^{2} +3(c-\dfrac{1}{3})^{2} + \dfrac{1}{6}

\therefore \vec{p}=(\dfrac{1}{6},- \dfrac{1}{6},\dfrac{1}{3})のとき、|\vec{p}|は最小値\dfrac{\sqrt{6}}{6}をとる。


第8問

対数関数の積分なので初手は部分積分になるのが必然的ですが、それによって発生する新しい積分をどう処理するかが解法の分かれ目になるっぽい。

教科書的に解くならx=\sqrt{2}\tan \thetaとおくのが定石。

でも、処理能力よりの試験なので多少の失敗のリスクを取ってでも時間的コストを削減するほうが良いんじゃないかなと思います。

というわけで、以下の解答では置換せずに\arctan xまで引っぱり出して無理やり正面突破していますが、頭の中では、結局はx=\sqrt{2}tと置換するのと変わらない操作をすることになるので置換するのとそんなに差はないですね。


解答

\displaystyle{ \int \log(x^{2}+2)dx = x \log(x^{2}+2) - \int x \cdot \frac{2x}{x^{2}+2} dx=x \log(x^{2}+2) -2 \int \frac{x^{2}}{x^{2}+2}}dx

ここで、\displaystyle{ \int \frac{x^{2}}{x^{2}+2}dx = \int (1- 2 \cdot \frac{1}{x^{2}+2} ) dx=x-\sqrt{2}\arctan \dfrac{1}{\sqrt{2}}x} + Cだから、

\displaystyle{ \int \log(x^{2}+2)dx = x \log(x^{2}+2) -2x+2\sqrt{2}\arctan \dfrac{1}{\sqrt{2}}x}+C

したがって、\displaystyle{ \int_{0}^{\sqrt{2}} \log(x^{2}+2)dx= 2\sqrt{2}(\log 2-1+\frac{\pi}{4})}


第9問

A,Bを焦点とする双曲線になるのは当たり前として、その式がx,yについて対称になることをどう利用するかがポイント。

(焦点がともにy=x上にあるのでそうなるのは当然ですよね。)

単答式試験なので十分性の確認が必要ありませんから、必要性で攻めるのが最も楽でしょう。


解答

求める曲線のグラフは双曲線になるが、グラフの対称性から、この双曲線はxy=k,(k \in R)とおける。

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この曲線のグラフと、y=xのグラフとの共有点のうちx座標が正のものをP_0とすると、

AP_0 + BP_0=2\sqrt{2}aかつAP_0 - BP_0=-2aであるから、AP_0=(\sqrt{2}-1)a

\therefore \overrightarrow{AP_0} =(\dfrac{1}{\sqrt{2}}a-a, \dfrac{1}{\sqrt{2}}a-a)であり、\overrightarrow{OP_0}=\overrightarrow{OA}+\overrightarrow{AP_0}=(\dfrac{1}{\sqrt{2}}a,\dfrac{1}{\sqrt{2}}a)

\therefore k=\dfrac{1}{\sqrt{2}}a \cdot \dfrac{1}{\sqrt{2}}a=\dfrac{a^{2}}{2}が必要である。

これは確かに|AP-BP|=2aを満たす。(実際に確認はしなくてよい笑)

\therefore 求める式は、xy=\dfrac{a^{2}}{2}


第10問

これも基本的な問題。数式を処理して解くよりも、複素平面上のベクトルに対応させる方が断然速いと思う。

説明の都合上、ゴテゴテと接弦定理だの円周角の定理だのを持ち出しましたが、数学甲子園は記述試験ではないので、実際に解くときはそんなことを気にせず視覚的に解きましょう。


解答

条件よりz=\dfrac{1 \pm \sqrt{3}i}{2}であり、このうち虚部が正のものはz=\dfrac{1+\sqrt{3}i}{2}

z+i=z-(-i)だから、複素数z+iに対応するベクトルは、図の赤色のベクトルである。

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求める偏角\thetaは、このベクトルの水平方向からの回転角であるが、\angle IOZ=\dfrac{5}{6}\piであり、接弦定理・中心角の定理より、\angle IOZ=2 \thetaであるから、\theta = \dfrac{5}{12}\pi


第11問

和訳すると、

『ある正四面体の各面の重心を4頂点とする小さな正四面体を考える。この小さな正四面体は、元の正四面体の体積のうち、幾らを占めるか。分数で答えよ。』

となるのかな。あまり自信はないんですがこんなところでしょう。数学の問題としては簡単。


解答

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元の正四面体の一辺の長さをaとする。ある辺の中点を通り、その辺の端でない2頂点を通る断面を考えると、その断面となる三角形と、中点・重心のなす三角形の相似比は3:1であるから、小さな四面体の一辺の長さは\dfrac{1}{3}a

従って、求める体積比は(\dfrac{1}{3})^{3}=\dfrac{1}{27}である。


第12問

和訳すると、

『男性5人、女性7人から選ばれた4人からなる委員会がある。このうち、男性を少なくとも1人、女性を少なくとも2人含むようなものは何通り考えられるか。』

性別で場合分けしないと重複してとんでもない数字になるので、ちゃんと場合分け。でもこれって教科書に載ってるレベルの問題ですよね。

なんかこれ含めて今のところ12問、本選出場者の間で差が開く気がしないんですよね。ということは、問題を創作する「Math Create」の点が本選突破に大きなウエイトを占めるのだろうか。

ああいう不確定要素の強いものがカギになるのは、ちょっとやめてほしいですね笑。

幾ら記念受験で参加したチームとはいえ、ここまで来たらやっぱ上を目指したいですから。


解答

残る1人が男性の時、選び方の総数は5 C 2 \cdot 7 C 2=5\cdot 7\cdot 6

残る1人が女性の時、選び方の総数は{}5 C 1 \cdot 7 C 3=5\cdot 7\cdot 5

求める場合の数は、5\cdot 7 \cdot 6 +5\cdot 7 \cdot 5=5\cdot 7\cdot 11=385


第13問

和訳すると、

多項式2x^{3}-3x^{2}+ax+bx+1を因数に持ち、x-2で割った余りが-15であるとき、a,bを求めよ。』

どうやら英語の問題は教科書レベルの問題のようですね。


解答

因数定理・剰余の定理より、題意の多項式P(x)とすると、

P(-1)=0 \Rightarrow -5-a+b=0かつP(2)=15 \Rightarrow 4+2a+b=-15

これらを解いて、(a,b)=(-8,-3)がわかる。

第14問

和訳すると、『y=-x^{2}-2の点Pにおける接線が原点を通るようなPの座標を全て求めよ。』

有名な接点tの人が力説しているように、原点を通るからと言ってy=mxとおくのはいただけません。なぜならこの問題で求めたいのはPの座標なのに対し、y=mxとおいて解くことで求められるのはmの値だからです。もちろんその後にPの座標を計算できますが、二度手間ですからね。


解答

P(X,Y)における接線の方程式はY=-2Xx+X^{2}-2であり、これが原点を通るときX=\pm \sqrt{2}

したがって求める座標は、(\sqrt{2},-4)(-\sqrt{2},-4)


第15問

和訳すると、N自然数とするとき、N^{2}-2015が平方数となるNを全て求めよ。

整数問題は必要性で候補を絞って十分性の確認をするのが基本的な流れであり、必要条件を与えるためには合同算術、不等式条件、因数分解が使い勝手の良い方法です。

あとは問題を複雑にしない範囲で条件を文字でおいて代入すればとりあえず解けることが多いです。僕は整数嫌いだし苦手なので言えることはこのくらい。


解答

N^{2}-2015=m^{2} \Leftrightarrow (N+m)(N-m)=5 \cdot 13 \cdot 31

\therefore (N+m,N-m)=(2015,1),(403,5),(155,13),(65,31)

これらを解いて、N=1008,104,84,48

別解

N^{2}>N^{2}-2015だから、N^{2}-2015が平方数となるとき、N^{2}-2015=(N-1)^{2},(N-2)^{2},\cdotsが必要

さらに、N,kの偶奇が一致するとき、N-kは偶数だからN^{2}-2015は偶数でなければならず、Nは奇数、kも奇数。

N,kの偶奇が一致しないとき、N-kは奇数だから、N^{2}-2015は奇数でなければならず、Nは偶数、kは奇数。

どちらにせよkは奇数であるから、以下ではN^{2}-2015=(N-1)^{2},(N-3)^{2},(N-5)^{2}\cdotsを考える。

また、N^{2}-2015 \geq 1だから、N^{2}-1936=(N+44)(N-44)>1\therefore N>45が必要であり、

これらをともに満たすNは、N=48,84,204,1008であり、求めるNはこれですべて。


総評

どうも英語で書かれた問題は他の問題に比べて易しいみたいですね。

予選通過発表の時、本選では英語表記の問題が出ると聞いたのでめちゃくちゃ警戒しましたが、CやLaTeXを触ったことがあれば一通りは分かるレベルの単語でした。

(例えば「integer」に対応するものはC言語の「int」命令がありますし、「fraction」にはLaTeX「\frac{}{}」が対応します。)

日本語の問題も難しくはないです。取捨選択はせずに全問正答を目指したいレベル。

とか言って、予選問題も全問正解するつもりで受験したのに酷いミス連発して仲間の足を引っ張った僕のことなので、本選でもなんかやらかすんだろうなあ笑。

sinA+sinB+sinC (π>A,B,C>0, A+B+C=2π)の最大値、微分による力技と、相加相乗平均の利用による微分回避

最近全然ネタを投下できていない。別に何もしていないわけではなくて、n個の三角関数の和について与えられる強い不等式を幾つか見つけたりはしているのだけど、夏の論文コンテストに提出する予定なのでここには書けない。

というわけで、昔の下書き記事を掘り起こして間を繋ぐことにした。以下は3か月前の話。


最近、友人が

{\sin A + \sin B + \sin C (A+B+C=2\pi)}の最大値を求め方を教えてくれ」

とLINEを寄越してきた。{A+B+C=2\pi}というのはちょっと珍しい。{A+B+C=\pi}はよく見るが。

「半径{\sqrt{2}}の円に内接する三角形の面積の最大値を求めればいいから正三角形の面積を考えれば良いよ。」

と返したのだけど代数的に解いてほしいらしい。

というわけでなかなかしんどい微分をやらされたのだが、上手い等式変形で微分を使わない方法も成功したのでメモとして。


sinA+sinB+sinC (A+B+C=2π)の最大値

加法定理、和積公式、二倍角の公式と、条件式{A+B+C=2\pi}より、

{\sin A + \sin B + \sin C = 2\sin \dfrac{C}{2}(\cos \dfrac{A-B}{2}+ \cos \dfrac{C}{2})}

ここで、{\sin A + \sin B + \sin C}は常に正であるから、以下の不等式が成り立つ

{2\sin \dfrac{C}{2}(1+ \cos \dfrac{C}{2}) \geqq 2\sin \dfrac{C}{2}(\cos \dfrac{A-B}{2}+ \cos \dfrac{C}{2})=\sin A + \sin B + \sin C > 0}

等号成立は{A=B}のときである。

また、二乗すると

{4\sin^{2}\dfrac{C}{2}(1+ \cos \dfrac{C}{2})^{2}=4(1-\cos \dfrac{C}{2})(1+ \cos \dfrac{C}{2})^{3} \geqq (\sin A + \sin B + \sin C)^{2}}

を得られる。{\cos \dfrac{C}{2}=t},{-1 \leqq t \lt 1}とおき、整理すると、

{(\sin A + \sin B + \sin C)^{2} \leqq 4(1-t)(1+t)^{3} \cdots (\star)} ({A=B}で等号成立)


(I)微分による解法

{f(t)=4(1-t)(1+t)^{3}}とおき、微分すると{f'(t)=8(-2t^{3}-3t^{2}+1)=-16(t+1)^{2}(t-\dfrac{1}{2})}

{-1 \leqq t \lt 1}より、{f'(t)=0}の解は{t=-1,\dfrac{1}{2}} 増減表を書くと以下のようになる。

{t}{-1}{\dfrac{1}{2}}{1}
{f'(t)}(なし){+}{0}{-}(なし)
{f(t)}{0}{\dfrac{27}{4}}{0}

したがって、{f(t)}{C=\dfrac{2}{3}\pi}で最大値{\dfrac{27}{4}}をとり、{A=B}のとき、{(\star)}の等号が成立する。

故に、{\sin A +\sin B \sin C}{A=B=C=\dfrac{2}{3}\pi}のとき最大値{\sqrt{\dfrac{27}{4}}=\dfrac{3\sqrt{3}}{2}}をとる。


(II)相加/相乗平均の不等式を用いた解法

{(\star)}について、{(\sin A + \sin B + \sin C)^{2} \leqq \dfrac{4}{3}(3-3t)(1+t)^{3}}とできる。

ここで、{-1 \leqq t \lt 1}から、右辺の因数は全て0以上であるから、

4次の相加相乗平均の不等式を用いて辺々を4乗し、係数を調整することで

{\dfrac{4}{3} \left\{ \dfrac{(3-3t)+(1+t)+(1+t)+(1+t)}{4} \right\}^{4} = \dfrac{4}{3}(\dfrac{3}{2})^{4} \geq \dfrac{4}{3}(3-3t)(1+t)^{4}}

を得られる。等号は{(3-3t)=(1+t) \Leftrightarrow t=\dfrac{1}{2},C=\dfrac{2}{3}\pi}のとき成立する。

{(\star)}の等号は{A=B}のとき成立するので、全ての等号が成立するのは{A=B=C=\dfrac{2}{3}\pi}のときである。

したがって、このとき{\sin A + \sin B + \sin C}は最大値{\sqrt{\dfrac{27}{4}}=\dfrac{3\sqrt{3}}{2}}


どちらの解法も1変数関数化が最大のポイント。どうせ{A=B=C}のとき最大になるだろうというのは簡単に予測されるので、角の差の形を作って、2角が等しい時に等号が成立するような不等式にする。

いつどこでだったのかは忘れてしまったが、{AM \geqq GM}不等式のこういう使い方を一度だけ見たことがある。

確か誰かに教えてもらったのだと思うけれど、まさかそれがこんな問題でも活きることになるとは思わなかった。

こういう解法は圧倒的に所要時間を短縮できるので、試験でも積極的に使っていきたいが、僕は試験中焦るタイプなので結局普通に微分してしまう。

普段の数学力を試験で発揮したい…

大学入試別解シリーズ 2005年京大前期 文理共通 第1問

2005年京大理系文系共通・前期第1問です。

{xy}平面上の原点と点{(1,2)}を結ぶ線分(両端を含む)を{L}とする。{L}{y=x^{2}+ax+b}が交点を持つような実数の組{(a,b)}の集合を{ab}平面上に図示せよ。

京大の割にめちゃくちゃ簡単。(そもそも、この別解シリーズの問題はスタンダード数学演習から引用しているので難問なんてないが)。

多分こういう易問って論述部分で相当厳しく採点するんだろう。

この年の問題は他年度に比してかなり簡単だったらしいですが、かの史上最短の問題が出題されるのが翌年。


解法〈I〉[逆像法]

{L:y=2x (0 \leq x \leq 1)}{y=x^{2}+ax+b}のグラフが共有点をもつことは、

これらから{y}を消去した式{x^{2}+(a-2)x+b=0 \cdots (1)}{0 \leq x \leq 1}で実解{x}をもつことに同値

したがって、{(1)}{0 \leq x \leq 1}で実解{x}をもつ{(a,b)}の条件を考えればよい。

{(1)}の左辺を{f(x)}とおくと、

  {f(1)=a+b-1 \cdots (2),f(0)=b \cdots (3)}

{f(x)=(x+ \dfrac{a-2}{2})^{2}-\dfrac{(a-2)^{2}}{4}+b}とできるから、

  {f(x)}のグラフの軸は{x=- \dfrac{a-2}{2} \cdots (4)}

  {f(x)}の最小値は{-\dfrac{(a-2)^{2}}{4}+b \cdots (5)}

{(i) \cdots} {0 \lt x \lt 1}に1つ、その他に1つ実解をもつとき

  {f(0)f(1) \lt 0}であればよく、{(2),(3)}より、{b(a+b-1) \lt 0}

{(ii) \cdots} {0 \lt x \lt 1}に2つ(重解含む)実解をもつとき

  「{f(x)}の最小値が負」かつ「{f(1)>0}かつ{f(0)>0}」かつ「{f(x)}の軸が区間内」であればよく、

  {(2),(3),(4),(5)}から、{-\dfrac{(a-2)^{2}}{2}+b \leq 0}かつ{a+b-1 > 0}かつ{b >0}かつ{0 \lt -\dfrac{a-2}{2} \lt 1}

  整理して{b \leq \dfrac{(a-2)^{2}}{4}}かつ{b > -a+1}かつ{b > 0}かつ{0 \lt a \lt 2}

{(iii) \cdots} {x=0,1}が解のとき

  {f(0)=0}または{f(1)=0}であればよく、{(2),(3)}より、{b=0,b=-a+1}

{(i)}~{(iii)}を総合し、図示すると以下のようになる。(ただし境界を含む)

f:id:AzelAlbarn666:20170522012046p:plain


この解答について

大学への数学では逆手流と呼ばれます。大学への数学は好きですが、既に明確に数学的に定義された名称のある解法に対して分かりにくい別称をつけて説明するところは虫が好きません。

この解法自体は好きです。要らないことを考えずに問答無用で解けるので。


解法〈I'〉[逆像法&補集合の利用]

求める{(a,b)}の集合は、{y=x^{2}+ax+b, L : 2x}{0 \leq x \leq 1}で共有点を持たないような{(a,b)}の集合を、全ての{(a,b)}の組から除いたものである。

したがって以下では、これらの2式を連立させた{x^{2}+(a-2)x+=0 \cdots (1)}{0 \leq x \leq 1}で共有点を持たない条件を考える。

{(1)}の左辺を{f(x)}とおくと、

  {f(1)=a+b-1 \cdots (2),f(0)=b \cdots (3)}

{f(x)=(x+ \dfrac{a-2}{2})^{2}-\dfrac{(a-2)^{2}}{4}+b}とできるから、

  {f(x)}のグラフの軸は{x=- \dfrac{a-2}{2} \cdots (4)}

  {f(x)}の最小値は{-\dfrac{(a-2)^{2}}{4}+b \cdots (5)}

{(i) \cdots} 任意のxについて解を持たないとき

  {f(x)}の最小値が正であればよく、{(5)}から、{b > \dfrac{(a-2)^{2}}{4}}

  図示すると以下のようになる(境界を含まない)

f:id:AzelAlbarn666:20170521225406p:plain

{(ii) \cdots} {x \lt 0,1 \lt x}に1つずつ解をもつとき

  {f(0) \lt 0}かつ{f(1) \lt 0}であればよく、{(2),(3)}より「{b \lt 0}かつ{b \lt -a+1}

  図示すると以下のようになる(境界を含まない)

f:id:AzelAlbarn666:20170521225421p:plain

{(iii) \cdots} {x \lt 0,1 \lt x}のいずれかにのみ解を持つとき

  「{f(x)}のグラフの軸が{x \lt 0,1 \lt x}を満たす」

  かつ「{f(1) > 0}かつ{f(0)>0}」かつ「{f(x)}の最小値が0以下」であればよい

  {(2),(3),(4),(5)}から、「{\dfrac{a-2}{2} \lt 0 , 1 \lt -\dfrac{a-2}{2}}

  かつ「{a+b-1>0}かつ{b> 0}」かつ「{-\dfrac{(a-2)^{2}}{4}}+b \leq 0」となり、

  整理すると「{a \lt 0, 2 \lt a}」かつ「{b > 0}」かつ{b > -a+1}」かつ「{b \leq \dfrac{(a-2)^{2}}{4}}

  図示すると以下のようになる(実線部を含み、軸、白丸、破線部を除く)

f:id:AzelAlbarn666:20170521225440p:plain

{(i)}~{(iii)}はそれぞれ背反だから、求める範囲は、これらを総合したものをab平面全体から除いたもので、図示すると以下のようになる(境界を含む)

f:id:AzelAlbarn666:20170522012046p:plain


この解答について

本質的には上の解答と全く同じですが敢えて補集合を使いました。この問題では完全に無意味で、ただの縛りプレイでしかないですが、場合分けを簡略化できる場合があります。

特に領域図示の問題では今自分が何をしているのか、解答のどの位置に立っているのかを強く意識しないとかえって困難になります。整理しながら解くのが苦手な人にはお勧めしません。

必要以上に丁寧で図が多いのは、自分の現在地を意識するためです。こうでもしないと最後に補集合を取り忘れたりして失敗します。

僕はこういう縛りプレイが場合分けの練習として最適だと思うのですが、全く流行っていませんね。


解法〈II〉[アナログ偏微分(ファクシミリの原理)]

{L:y=2x,y=x^{2}+ax+b}を連立させた式{x^{2}+(a-2)x+b=0 \cdots (1)}について考える。

{(1)}において{a=k}とし、{}値域を求めれば、直線{a=k}上の、条件を満たす点の存在範囲が分かる。

したがって、{k}が全ての実数の範囲を動くときを考えれば、条件を満たす{(a.b)}の存在領域を得られる。

以下では、{f(x)}の値域を考える。

  {f(0)=0 \cdots (2)}

  {f(-\dfrac{k-2}{2})=\dfrac{(k-2)^{2}}{4} \cdots (3)}

  {f(1)=-k+1 \cdots (4)}

最大値は

  {(i) \cdots} {-\dfrac{k-2}{2} \lt 0} すなわち {2 \lt k}のとき   {f(0)}

  {(ii)\cdots} {0 \leq -\dfrac{k-2}{2} \leq  1} すなわち {0 \leq k \leq 2}のとき   {f(-\dfrac{k-2}{2})}

  {(iii) \cdots} {1 \lt -\dfrac{k-2}{2}} すなわち {k \lt 0}のとき   {f(1)}

最小値は

  {(iv) \cdots} {-\dfrac{k-2}{2} \lt \dfrac{1}{2}} すなわち {1 \lt k}のとき   {f(1)}

  {(v) \cdots} {\dfrac{1}{2}\leq \dfrac{k-2}{2}} すなわち {k \leq 1}のとき   {f(0)}

{(i)~(v)}{(2),(3),(4)}より、{f(x)}の値域は

  {0 \leq f(x) \leq -k+1 ~~~~~~~~(k \lt 0)}

  {0 \leq f(x) \leq \dfrac{(k-2)^{2}}{4}~~~~~~~~(0 \leq k \leq 1)}

  {-k+1 \leq f(x) \leq \dfrac{(k-2)^{2}}{4}}~~~~~~~~(1 \lt k \leq 2)

  {-k+1 \leq f(x) \leq 0 ~~~~~~~~(2 \lt k)}

図示すると以下のようになる(境界を含む)

f:id:AzelAlbarn666:20170522012046p:plain


この解答について

大学への数学ではファクシミリの原理、巷には予選決勝法と呼ばれる解法。

僕はFAXを見たことがないし、予選決勝法というネーミングがなんだか気に食わないのでアナログ偏微分と勝手に命名しています。

解答を見ればわかる通り、{a=k}上における、条件を満たす点の存在範囲は{a=k,0 \lt x \lt 1}におけるbの値域から求められるので、言わば最大最小問題に帰着させているということです。

ステップが多いので個人的には嫌いな解法です。({a=k}とおかずに始めから一般のaについてbの値域を出す等の方法で)各ステップを統合可能なんだけれど、僕の性格上それが気に食わないので。


解法〈III〉[包絡線の利用]

{y=x^{2}+ax+b,L : y=2x}の共有点のx座標は、{x^{2}+(a-2)x+b=0 \cdots (1)}の解xに一致する。

故に、(1)が{(0 \leq x \leq 1)}において解を持つような{(a,b)}の条件を求めればよいが、

{0 \leq x \leq 1}を満たすあるxに対して、(1)はab平面上の直線を表すので、条件を満たす{(a,b)}はこの直線上の点である。

したがって求める領域は、xが{0 \leq x \leq 1}の範囲を動いたとき、(1)のab平面におけるグラフが通過する領域である。

また、xについて平方完成し整理すると{b=-(x+\dfrac{a-2}{2})^{2}+\dfrac{(a-2)^{2}}{4}}とできるから、

直線(1)のグラフは{b=\dfrac{(a-2)^{2}}{4}}と接し、接点のa座標は{a=-2x+2}であり、{0 \leq x \leq 1}のとき、この接点は{0 \leq a \leq 2}を動く。

したがって、求める領域を図示すると以下のようになる。(ただし、境界を含む。)

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この解法について

今回の別解枠。

包絡線はあまり流行ってないですが、有名どころだとFocusGoldや、やさしい理系数学に記載があります。僕自身はどっかで教わったので知ってました。(具体的にどこかは忘れた)

記述が楽という理由で逆像法贔屓なのでたいして使ってなかったのですが、最近Kindle Unlimitedでこれを読んで思い出したので個人的な流行ネタということで試してみました。

包絡線(一般的には通過領域の問題におけるテクニックであるとされる)の、媒介変数と独立変数の読み換えによる他系統問題への応用例という意味では、新しい解法と呼んでも良いかと思います。

もちろん、平方完成による包絡線の導出を知っていても、この問題を見たときに包絡線が応用できることにすぐに気付くにはそこそこセンスが要るので、入試で使うのは非現実的です。あくまでも面白い別解、ということで。