Azel's Note

ある高校生の数学ノート。

大学入試別解シリーズ 2005年京大前期 文理共通 第1問

2005年京大理系文系共通・前期第1問です。

{xy}平面上の原点と点{(1,2)}を結ぶ線分(両端を含む)を{L}とする。{L}{y=x^{2}+ax+b}が交点を持つような実数の組{(a,b)}の集合を{ab}平面上に図示せよ。

京大の割にめちゃくちゃ簡単。(そもそも、この別解シリーズの問題はスタンダード数学演習から引用しているので難問なんてないが)。

多分こういう易問って論述部分で相当厳しく採点するんだろう。

この年の問題は他年度に比してかなり簡単だったらしいですが、かの史上最短の問題が出題されるのが翌年。


解法〈I〉[逆像法]

{L:y=2x (0 \leq x \leq 1)}{y=x^{2}+ax+b}のグラフが共有点をもつことは、

これらから{y}を消去した式{x^{2}+(a-2)x+b=0 \cdots (1)}{0 \leq x \leq 1}で実解{x}をもつことに同値

したがって、{(1)}{0 \leq x \leq 1}で実解{x}をもつ{(a,b)}の条件を考えればよい。

{(1)}の左辺を{f(x)}とおくと、

  {f(1)=a+b-1 \cdots (2),f(0)=b \cdots (3)}

{f(x)=(x+ \dfrac{a-2}{2})^{2}-\dfrac{(a-2)^{2}}{4}+b}とできるから、

  {f(x)}のグラフの軸は{x=- \dfrac{a-2}{2} \cdots (4)}

  {f(x)}の最小値は{-\dfrac{(a-2)^{2}}{4}+b \cdots (5)}

{(i) \cdots} {0 \lt x \lt 1}に1つ、その他に1つ実解をもつとき

  {f(0)f(1) \lt 0}であればよく、{(2),(3)}より、{b(a+b-1) \lt 0}

{(ii) \cdots} {0 \lt x \lt 1}に2つ(重解含む)実解をもつとき

  「{f(x)}の最小値が負」かつ「{f(1)>0}かつ{f(0)>0}」かつ「{f(x)}の軸が区間内」であればよく、

  {(2),(3),(4),(5)}から、{-\dfrac{(a-2)^{2}}{2}+b \leq 0}かつ{a+b-1 > 0}かつ{b >0}かつ{0 \lt -\dfrac{a-2}{2} \lt 1}

  整理して{b \leq \dfrac{(a-2)^{2}}{4}}かつ{b > -a+1}かつ{b > 0}かつ{0 \lt a \lt 2}

{(iii) \cdots} {x=0,1}が解のとき

  {f(0)=0}または{f(1)=0}であればよく、{(2),(3)}より、{b=0,b=-a+1}

{(i)}~{(iii)}を総合し、図示すると以下のようになる。(ただし境界を含む)

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この解答について

大学への数学では逆手流と呼ばれます。大学への数学は好きですが、既に明確に数学的に定義された名称のある解法に対して分かりにくい別称をつけて説明するところは虫が好きません。

この解法自体は好きです。要らないことを考えずに問答無用で解けるので。


解法〈I'〉[逆像法&補集合の利用]

求める{(a,b)}の集合は、{y=x^{2}+ax+b, L : 2x}{0 \leq x \leq 1}で共有点を持たないような{(a,b)}の集合を、全ての{(a,b)}の組から除いたものである。

したがって以下では、これらの2式を連立させた{x^{2}+(a-2)x+=0 \cdots (1)}{0 \leq x \leq 1}で共有点を持たない条件を考える。

{(1)}の左辺を{f(x)}とおくと、

  {f(1)=a+b-1 \cdots (2),f(0)=b \cdots (3)}

{f(x)=(x+ \dfrac{a-2}{2})^{2}-\dfrac{(a-2)^{2}}{4}+b}とできるから、

  {f(x)}のグラフの軸は{x=- \dfrac{a-2}{2} \cdots (4)}

  {f(x)}の最小値は{-\dfrac{(a-2)^{2}}{4}+b \cdots (5)}

{(i) \cdots} 任意のxについて解を持たないとき

  {f(x)}の最小値が正であればよく、{(5)}から、{b > \dfrac{(a-2)^{2}}{4}}

  図示すると以下のようになる(境界を含まない)

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{(ii) \cdots} {x \lt 0,1 \lt x}に1つずつ解をもつとき

  {f(0) \lt 0}かつ{f(1) \lt 0}であればよく、{(2),(3)}より「{b \lt 0}かつ{b \lt -a+1}

  図示すると以下のようになる(境界を含まない)

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{(iii) \cdots} {x \lt 0,1 \lt x}のいずれかにのみ解を持つとき

  「{f(x)}のグラフの軸が{x \lt 0,1 \lt x}を満たす」

  かつ「{f(1) > 0}かつ{f(0)>0}」かつ「{f(x)}の最小値が0以下」であればよい

  {(2),(3),(4),(5)}から、「{\dfrac{a-2}{2} \lt 0 , 1 \lt -\dfrac{a-2}{2}}

  かつ「{a+b-1>0}かつ{b> 0}」かつ「{-\dfrac{(a-2)^{2}}{4}}+b \leq 0」となり、

  整理すると「{a \lt 0, 2 \lt a}」かつ「{b > 0}」かつ{b > -a+1}」かつ「{b \leq \dfrac{(a-2)^{2}}{4}}

  図示すると以下のようになる(実線部を含み、軸、白丸、破線部を除く)

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{(i)}~{(iii)}はそれぞれ背反だから、求める範囲は、これらを総合したものをab平面全体から除いたもので、図示すると以下のようになる(境界を含む)

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この解答について

本質的には上の解答と全く同じですが敢えて補集合を使いました。この問題では完全に無意味で、ただの縛りプレイでしかないですが、場合分けを簡略化できる場合があります。

特に領域図示の問題では今自分が何をしているのか、解答のどの位置に立っているのかを強く意識しないとかえって困難になります。整理しながら解くのが苦手な人にはお勧めしません。

必要以上に丁寧で図が多いのは、自分の現在地を意識するためです。こうでもしないと最後に補集合を取り忘れたりして失敗します。

僕はこういう縛りプレイが場合分けの練習として最適だと思うのですが、全く流行っていませんね。


解法〈II〉[アナログ偏微分(ファクシミリの原理)]

{L:y=2x,y=x^{2}+ax+b}を連立させた式{x^{2}+(a-2)x+b=0 \cdots (1)}について考える。

{(1)}において{a=k}とし、{}値域を求めれば、直線{a=k}上の、条件を満たす点の存在範囲が分かる。

したがって、{k}が全ての実数の範囲を動くときを考えれば、条件を満たす{(a.b)}の存在領域を得られる。

以下では、{f(x)}の値域を考える。

  {f(0)=0 \cdots (2)}

  {f(-\dfrac{k-2}{2})=\dfrac{(k-2)^{2}}{4} \cdots (3)}

  {f(1)=-k+1 \cdots (4)}

最大値は

  {(i) \cdots} {-\dfrac{k-2}{2} \lt 0} すなわち {2 \lt k}のとき   {f(0)}

  {(ii)\cdots} {0 \leq -\dfrac{k-2}{2} \leq  1} すなわち {0 \leq k \leq 2}のとき   {f(-\dfrac{k-2}{2})}

  {(iii) \cdots} {1 \lt -\dfrac{k-2}{2}} すなわち {k \lt 0}のとき   {f(1)}

最小値は

  {(iv) \cdots} {-\dfrac{k-2}{2} \lt \dfrac{1}{2}} すなわち {1 \lt k}のとき   {f(1)}

  {(v) \cdots} {\dfrac{1}{2}\leq \dfrac{k-2}{2}} すなわち {k \leq 1}のとき   {f(0)}

{(i)~(v)}{(2),(3),(4)}より、{f(x)}の値域は

  {0 \leq f(x) \leq -k+1 ~~~~~~~~(k \lt 0)}

  {0 \leq f(x) \leq \dfrac{(k-2)^{2}}{4}~~~~~~~~(0 \leq k \leq 1)}

  {-k+1 \leq f(x) \leq \dfrac{(k-2)^{2}}{4}}~~~~~~~~(1 \lt k \leq 2)

  {-k+1 \leq f(x) \leq 0 ~~~~~~~~(2 \lt k)}

図示すると以下のようになる(境界を含む)

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この解答について

大学への数学ではファクシミリの原理、巷には予選決勝法と呼ばれる解法。

僕はFAXを見たことがないし、予選決勝法というネーミングがなんだか気に食わないのでアナログ偏微分と勝手に命名しています。

解答を見ればわかる通り、{a=k}上における、条件を満たす点の存在範囲は{a=k,0 \lt x \lt 1}におけるbの値域から求められるので、言わば最大最小問題に帰着させているということです。

ステップが多いので個人的には嫌いな解法です。({a=k}とおかずに始めから一般のaについてbの値域を出す等の方法で)各ステップを統合可能なんだけれど、僕の性格上それが気に食わないので。


解法〈III〉[包絡線の利用]

{y=x^{2}+ax+b,L : y=2x}の共有点のx座標は、{x^{2}+(a-2)x+b=0 \cdots (1)}の解xに一致する。

故に、(1)が{(0 \leq x \leq 1)}において解を持つような{(a,b)}の条件を求めればよいが、

{0 \leq x \leq 1}を満たすあるxに対して、(1)はab平面上の直線を表すので、条件を満たす{(a,b)}はこの直線上の点である。

したがって求める領域は、xが{0 \leq x \leq 1}の範囲を動いたとき、(1)のab平面におけるグラフが通過する領域である。

また、xについて平方完成し整理すると{b=-(x+\dfrac{a-2}{2})^{2}+\dfrac{(a-2)^{2}}{4}}とできるから、

直線(1)のグラフは{b=\dfrac{(a-2)^{2}}{4}}と接し、接点のa座標は{a=-2x+2}であり、{0 \leq x \leq 1}のとき、この接点は{0 \leq a \leq 2}を動く。

したがって、求める領域を図示すると以下のようになる。(ただし、境界を含む。)

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この解法について

今回の別解枠。

包絡線はあまり流行ってないですが、有名どころだとFocusGoldや、やさしい理系数学に記載があります。僕自身はどっかで教わったので知ってました。(具体的にどこかは忘れた)

記述が楽という理由で逆像法贔屓なのでたいして使ってなかったのですが、最近Kindle Unlimitedでこれを読んで思い出したので個人的な流行ネタということで試してみました。

包絡線(一般的には通過領域の問題におけるテクニックであるとされる)の、媒介変数と独立変数の読み換えによる他系統問題への応用例という意味では、新しい解法と呼んでも良いかと思います。

もちろん、平方完成による包絡線の導出を知っていても、この問題を見たときに包絡線が応用できることにすぐに気付くにはそこそこセンスが要るので、入試で使うのは非現実的です。あくまでも面白い別解、ということで。