Azel's Note

とある高校生の数学ノート。あらゆる問題に対する、感覚と論理の双方向からのアプローチの記録。

sinA+sinB+sinC (π>A,B,C>0, A+B+C=2π)の最大値、微分による力技と、相加相乗平均の利用による微分回避

最近全然ネタを投下できていない。別に何もしていないわけではなくて、n個の三角関数の和について与えられる強い不等式を幾つか見つけたりはしているのだけど、夏の論文コンテストに提出する予定なのでここには書けない。

というわけで、昔の下書き記事を掘り起こして間を繋ぐことにした。以下は3か月前の話。


最近、友人が

{\sin A + \sin B + \sin C (A+B+C=2\pi)}の最大値を求め方を教えてくれ」

とLINEを寄越してきた。{A+B+C=2\pi}というのはちょっと珍しい。{A+B+C=\pi}はよく見るが。

「半径{\sqrt{2}}の円に内接する三角形の面積の最大値を求めればいいから正三角形の面積を考えれば良いよ。」

と返したのだけど代数的に解いてほしいらしい。

というわけでなかなかしんどい微分をやらされたのだが、上手い等式変形で微分を使わない方法も成功したのでメモとして。


sinA+sinB+sinC (A+B+C=2π)の最大値

加法定理、和積公式、二倍角の公式と、条件式{A+B+C=2\pi}より、

{\sin A + \sin B + \sin C = 2\sin \dfrac{C}{2}(\cos \dfrac{A-B}{2}+ \cos \dfrac{C}{2})}

ここで、{\sin A + \sin B + \sin C}は常に正であるから、以下の不等式が成り立つ

{2\sin \dfrac{C}{2}(1+ \cos \dfrac{C}{2}) \geqq 2\sin \dfrac{C}{2}(\cos \dfrac{A-B}{2}+ \cos \dfrac{C}{2})=\sin A + \sin B + \sin C > 0}

等号成立は{A=B}のときである。

また、二乗すると

{4\sin^{2}\dfrac{C}{2}(1+ \cos \dfrac{C}{2})^{2}=4(1-\cos \dfrac{C}{2})(1+ \cos \dfrac{C}{2})^{3} \geqq (\sin A + \sin B + \sin C)^{2}}

を得られる。{\cos \dfrac{C}{2}=t},{-1 \leqq t \lt 1}とおき、整理すると、

{(\sin A + \sin B + \sin C)^{2} \leqq 4(1-t)(1+t)^{3} \cdots (\star)} ({A=B}で等号成立)


(I)微分による解法

{f(t)=4(1-t)(1+t)^{3}}とおき、微分すると{f'(t)=8(-2t^{3}-3t^{2}+1)=-16(t+1)^{2}(t-\dfrac{1}{2})}

{-1 \leqq t \lt 1}より、{f'(t)=0}の解は{t=-1,\dfrac{1}{2}} 増減表を書くと以下のようになる。

{t}{-1}{\dfrac{1}{2}}{1}
{f'(t)}(なし){+}{0}{-}(なし)
{f(t)}{0}{\dfrac{27}{4}}{0}

したがって、{f(t)}{C=\dfrac{2}{3}\pi}で最大値{\dfrac{27}{4}}をとり、{A=B}のとき、{(\star)}の等号が成立する。

故に、{\sin A +\sin B \sin C}{A=B=C=\dfrac{2}{3}\pi}のとき最大値{\sqrt{\dfrac{27}{4}}=\dfrac{3\sqrt{3}}{2}}をとる。


(II)相加/相乗平均の不等式を用いた解法

{(\star)}について、{(\sin A + \sin B + \sin C)^{2} \leqq \dfrac{4}{3}(3-3t)(1+t)^{3}}とできる。

ここで、{-1 \leqq t \lt 1}から、右辺の因数は全て0以上であるから、

4次の相加相乗平均の不等式を用いて辺々を4乗し、係数を調整することで

{\dfrac{4}{3} \left\{ \dfrac{(3-3t)+(1+t)+(1+t)+(1+t)}{4} \right\}^{4} = \dfrac{4}{3}(\dfrac{3}{2})^{4} \geq \dfrac{4}{3}(3-3t)(1+t)^{4}}

を得られる。等号は{(3-3t)=(1+t) \Leftrightarrow t=\dfrac{1}{2},C=\dfrac{2}{3}\pi}のとき成立する。

{(\star)}の等号は{A=B}のとき成立するので、全ての等号が成立するのは{A=B=C=\dfrac{2}{3}\pi}のときである。

したがって、このとき{\sin A + \sin B + \sin C}は最大値{\sqrt{\dfrac{27}{4}}=\dfrac{3\sqrt{3}}{2}}


どちらの解法も1変数関数化が最大のポイント。どうせ{A=B=C}のとき最大になるだろうというのは簡単に予測されるので、角の差の形を作って、2角が等しい時に等号が成立するような不等式にする。

いつどこでだったのかは忘れてしまったが、{AM \geqq GM}不等式のこういう使い方を一度だけ見たことがある。

確か誰かに教えてもらったのだと思うけれど、まさかそれがこんな問題でも活きることになるとは思わなかった。

こういう解法は圧倒的に所要時間を短縮できるので、試験でも積極的に使っていきたいが、僕は試験中焦るタイプなので結局普通に微分してしまう。

普段の数学力を試験で発揮したい…