Azel's Note

とある高校生の数学ノート。あらゆる問題に対する、感覚と論理の双方向からのアプローチの記録。

積分で活躍する、整式の瞬間部分分数分解法(Heaviside cover-up method)

積分ってしんどいですよね。何がって計算が。

中堅以上の大学の入試問題だと、部分分数分解して積分しなければならない場面が割と多いです。

この部分分数分解が曲者で、それなりに面倒。

部分分数分解はある意味で恒等式の係数決定と同等な作業ですから、単純に考えれば恒等式の係数を決めるときに用いる方法をそのまま応用できます。

ところが、巷に溢れる参考書たち、恒等式の係数決定は係数比較法と数値代入法がある!って自分で言ってるくせに部分分数分解になると後者を全然活用しません。

と言ってもまあ、僕が持ってる数Ⅲの参考書なんて学校で買わされたFocusGoldと1対1対応の数学くらいなんですけどね。

この記事では、数値代入法を用いて瞬間的に部分分数分解するテクニックを紹介します。

(詳しい話はこの記事の最後に書きますが、どうやらこの方法は「Heaviside cover-up method」と呼ばれるものらしいです。)


・分母が重根を持たない場合(普通の部分分数分解)

具体的な例

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何故この方法で部分分数分解できるのか

最初に述べたように、部分分数分解は扱いやすい恒等式を作る作業です。したがって、各項の分子を求める作業は、恒等式の係数決定と同様の方法を応用できるわけです。

一般的な方法では、\dfrac{2}{x(x+1)(x+2)}=\dfrac{a}{x}+\dfrac{b}{x+1}+\dfrac{c}{x+2}などとおいた上で整理し、

2=a(x+1)(x+2)+bx(x+2)+cx(x+1) \Leftrightarrow (a+b+c)x^{2}+(3a+2b+c)x+2a-2=0

xについて恒等的に成立するための必要十分条件である

(a+b+c)=0,(3a+2b+c)=0,2a-2=0」を連立方程式として解いています。

しかし、降べきの順に整理する前の式である2=a(x+1)(x+2)+bx(x+2)+cx(x+1)に注目してx=0,-1,-2を代入すれば、必要条件2=2a,2=-b,2=2cを求められます。

これを利用したのが上の方法です。

もちろん、数値代入法の原則に則れば十分性の確認が必要ではありますが、省略しても実使用上に問題はないでしょう。

実際、部分分数分解の可能性は(教科書に記載はないが)広く知られた事実です。

もしそれを示さなければならないなら話は別ですが、実際に部分分数分解が必要な場面は大抵計算過程ですから、見据える問題の本質がその計算過程に宿るのでない限りは、プラグマティックに考えることも重要だと僕は思います。

(この方法を用いたとされるヘヴィサイドも、

「Why should I refuse a good dinner simply because I don’t understand the digestive processes involved?」

という言葉を遺しています。和訳するなら、消化のプロセスを知らないなら、食事の誘いを断れとでも?というニュアンスになるのかな。

演算子法の理論の曖昧さについて指摘されたときにこう反論したそうです。)


・分母が重根を持つ場合

工事中。


・余談

話が上手く出来すぎていて信じて貰えそうにないですが、僕、一応このテクニックは自力で編み出したんですよ。自分が使うために。

この方法って一般的なんだろうか、それとも塾や予備校では何か別のテクニックを教えているのか?なんて思ったのでちょっと調べてみたんですが、

d.hatena.ne.jp

なんかこれ、演算子法で有名なヘヴィサイドが用いていた方法と同じみたいですね……

恒等式の係数決定なんだから数値代入法でいいじゃん」程度の軽い思い付きから生まれた方法が、ちゃんと名前のある計算技術だったことにちょっと感動しました。